手作りケーキと友理のド根性
イヴの前日、友理奈に誘われた桃子は特に予定もないので24日を友理奈と過ごすことにした。
いつも優しい友理奈にお礼をするため、ケーキを作ろうと決心する桃子だが・・・。
プルルルル・・・
「あ、もしもし友理〜?今日は桃がケーキ作るからぁ、3時過ぎに桃ん家に来てくれる?」
『え?作ってくれるの?やったぁ♪3時過ぎね・・・了解!』
「じゃ、待ってるね♪」
「よし、頑張ろ♪」
この日のために用意したピンクのフリフリエプロンを着て、クルッと一回転。
「スポンジ焼くなんて絶対出来ないから、近所のケーキ屋さんでスポンジ買ってきたんだよねぇ♪桃ったら頭いいなぁv」
独り言が痛々しい桃子の手によって、テーブルの上に材料や器具が並べられていく。
スポンジ、生クリーム、イチゴ、マジパン、デコペン、ボウル、電動泡立て器、納豆、クリームの絞り袋・・・納豆?!
「とりあえずスポンジを2つに切らなくっちゃ。間に生クリームとイチゴと・・・友理の大好きな納豆入れちゃおvv」
誰かこの子に常識というものを教えてあげてください・・・。
彼女は危なっかしくパン切り包丁を取り出すと、首をかしげながら恐ろしい一言を放った。
「・・・スポンジってどう切ればいいのかなぁ?」
そのまま横に包丁を入れるだけです、嗣永さん・・・。
心の声が聞こえたのか、彼女は無事、横に包丁を入れてくれた。
だが・・・
「もうやだぁ〜。まっすぐに切れなぁ〜い!」
断面はボコボコ。
触ると、ポロポロとスポンジが崩れていく。
よっぽど不器用なんですね・・・。
「ま、いいや。こんなとこ、後でクリーム塗っちゃえば分かんないよね!さっさとクリーム泡立てよーっと。」
ボウルの中に生クリームを注ぎ入れ、電動泡立て器の準備をする。
「スイッチオン♪」
ウイーンウイーン・・・ウイーンウイーン・・・ガガガガガガガッ!!
「きゃぁ!!」
一応状況を説明すると・・・泡立て器のスイッチを入れたはいいが、意外と重くて支えきれず安定しない。
ふよふよと動く泡立て器は次第にボウルの上の方へ・・・。
結果、クリームが勢いよく飛び散り、桃子にかかったというわけだ。
「あ〜ん、もう!床もべちょべちょ・・・。ま、いいや。後で友理に掃除してもらおうっと。」
先ほど半分に切ったスポンジにクリームを適当に塗ったくり、練ってから小さく刻んだ納豆を乗せる。
その上に、へたっぴなりに頑張って切ったイチゴをばら撒き、スポンジの上半分をズレないように重ねれば・・・大方完成。
「あとは外側かぁ・・・。マー○ルチョコとア○ロとイチゴでいいかな。」
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40分後・・・。
プロ顔負けの、とてもきれいなケーキが出来上がった。
クリーム絞りを始めとするデコレーションも完璧。
彼女にこんな才能があったとは・・・。
「あと20分・・・。う〜ん。そろそろ友理も来るし、テーブル片付けとこっかなぁ。」
テーブルを布巾で水拭きし、真ん中にケーキを置く。
カップにティーバッグで紅茶を入れ、砂糖とミルクをきれいな容器にセット。
もちろん、1時間ほど前にキッチンで飛び散らせたクリームは放置したまま。
ボウルやまな板、包丁等は流しに積み上げっ放しだ。
「あとは友理の到着を待つだけ〜♪」
いや、その前にすることあると思うんですけど・・・。
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ピンポーン
「あ、友理だ♪」
【続け!!】