バレンタインですね

ってなわけで、またまた書いちゃいましたよw
今回は・・・もも+ゆりって感じですかね。
あ、もも→←ゆりかも。(ぇ
まぁ気が向いたら「続きを読む」をクリックしてみてくださいw






世のオトコ・オンナが浮かれポンチになるバレンタイン。
正直、自分には関係ないと思ってた。



はっぴーばれんたいん


      〜甘すぎる1日〜



「寒い。」


最近、自分の行動が理解できないことが多くなってきた気がする。
2月の中旬。
今年は暖冬だとか言っても、やっぱ冬は冬だから寒いわけで。
完全装備になってまで屋上にいるってのはかっこ悪いような気がして、防寒具はマフラーだけ。
つまらない意地だって分かってはいるけど、それでもなんとなく嫌。


じゃあなんでそんな寒い思いをしてまで屋上にいたがるのか。
もし誰かにそう問われたら、あたしはたぶん言葉に詰まると思う。
去年までは冬になったら本拠地を視聴覚室に移してぐだぐだしてたし、別に屋上から見る景色が格別・・・なんてことはない。
いや、でもそんなことより・・・なんで今自分のかばんの中にチョコレートが入っているのか、そっちの方が疑問かもしれない。
毎年毎年望んでもいないのに、何故か机の上にチョコレートが山盛り入ったダンボールが置いてあったりってことはあったけど、1度足りとも誰かのために自分で買ってプレゼントしたことはないから。
なんで昨日スーパーのバレンタインコーナーで買ったチョコが入ってるんだろ。
そもそも・・・なんでチョコなんか買ったんだろ。
あげる相手なんていないし、今年も多分「もう2度とチョコなんて見たくない」って思うくらい大量のチョコが教室にあるのに・・・。




キーンコーンカーンコーン・・・




2限目の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
昼休みってことは・・・今日もあいつが来るのかな。
黒くて長い髪をなびかせながら、意味もなく息を弾ませて。






ガチャッ


「桃いるー?」


ドアが開く音に反応して振り返って見ると、大きな荷物を抱えたみーやんが立っていた。


「なんだ、みーやんかぁ。」

「うわー、ひっどー。せっかく午前中分のチョコ届けに来てあげたのにぃ。」


そう言って渡されたのは、去年よりも強烈なチョコの山。


「・・・こんなに食べたくないんだけど。」

「ははは、そう言わないでちゃんと食べてあげるんだよー。あとこれ、うちからね。」


お箸いる?、という問いに頷きつつ手渡されたタッパーの中身を見ると・・・たくあんがぎっしり。


「へぇ、みーやん気ぃ利くね。ありがと。」

「まぁこんだけ甘いものがあったらしょっぱいものも食べたくなるでしょ。じゃあうちはこの辺で!また放課後、午後の分届けに来るから☆」

「うえー、それはいらない。」


慌ただしく走り去るみーやんの姿を見送ってから、ふと視線を下に落とすとさっきのチョコの山。


「・・・やっぱ食べなきゃだめかなぁ。」


とりあえず1番上の大きな箱を手にとって、ラッピングをはがす。
姿を現したのは・・・


「チョコクリームたっぷりの・・・ホールケーキ・・・」


中に入っていたカードに目を通しつつケーキをつついていると、「キィー・・・」と控えめにドアを開ける音が聞こえた。


「もーもち♪」

「あ、友理。今日はずいぶんおとなしいんだね。普段はドアが壊れるんじゃないかって心配になるくらい勢いよく開けるのに。」

「えへへ、今日はこれ持ってたから走れなかったんだぁ。はい、バレンタインだからももちにあげる!」

「え、あぁ・・・ありがと。これって・・・」

「チョコケーキだけど・・・嫌いだった?」

「嫌いではないよ。ただちょっと・・・や、なんでもない。あ、そうだ。友理これあげる。」


ふと思い立って、昨日なんとなく買ってしまったチョコを差し出す。
友理はすごく嬉しそうな顔で、早くも箱を開けて食べようとしてる。


「お腹すいたから食べちゃお〜。ん〜、おいしい!」
「既製品なんだからおいしいに決まってんじゃん。」
「違うよ〜。ももちがくれたから、その辺のチョコよりおいしいの!」
「ふーん・・・」



あたしがあげた安いスーパーのチョコを「おいしい」って言いながら満面の笑みで食べる友理。
その無邪気な姿を見てたら、なんとなく和やかな気分になってきた。
あー、なんか今年こんなに屋上に執着してる理由がわかったかもしれない。



こんな寒い思いをしてまで屋上にい続けるのはきっと・・・



「ももち、お弁当食べよ♪」
「あー、はいはい。」



天使の笑顔に癒されたいからだね。