大変長らくお待たせ致しました
まぁ待っていてくださった方がいるかは疑問ですけれども・・・。
とりあえず後編いきます!
ピンポーン
「あ、友理だ♪」
ぱたぱたと音を立てながら玄関へ向かい、一応覗き穴から外を見る。
すると・・・水色のトレンチコートにブーツカットのジーンズ、首元には先日桃子がプレゼントしたマフラーという格好の友理奈が立っていた。
何やら顔を赤くしながら、辺りを見回している。
ガチャッ
「やっほー、友理♪さっきからキョロキョロしちゃってどうしたの?お金でも落とした?」
「あ、ももちvいや〜実はさぁ、ここに来るまでジーンズのチャックが開いてたことに気がつかなくって・・・。」
「ふふっ、友理可愛いvで、今日は?」
「白地にクマのバックプリント。」
小学6年生にしては子供っぽいかも・・・。
「まぁ、とりあえず上がって?奥にケーキあるからさぁ。」
「マジでべいべー?!」
そう言うやいなや猛ダッシュする友理奈。
廊下は昨日ワックスがけしたばかりである。
ってことはつまり・・・
「あ!友理、走ったら危n
「わゎっ?!」
スッテーン
やっぱり転んだ。
それも10点満点中10点あげたくなるような完璧な顔面スライディングで。
ムクっと起き上がった友理奈の顔からは鼻血がポタポタ。
目は涙で潤んでいる。
「ももち、痛いよぉ・・・。ぐすっ・・・。」
「ごめんね、友理。お詫びに桃が舐めてあげる♪ロマンチックでしょ☆」
「やだ!それは絶対やだ!包丁で指切っちゃった時に・・・って言うのなら分かるけど、鼻血が出た時に舐めるなんて聞いたことないし、ロマンチックには程遠いよ!」
「冗談だよ、冗談♪今の桃のジョークで涙が止まったでしょ?」
桃子が言うと冗談に聞こえないが・・・確かに彼女の言う通り、友理奈の涙は止まっていた。
お見事!*1
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「うわぁ〜、美味しそう!これ、ももちの手作りでしょ?」
「うん。まぁ、スポンジは上手く焼ける気がしなかったから買ってきたけどね。」
桃子が危なっかしく包丁を入れ6分割する。
断面から納豆は・・・見えない!
「わ〜い!いっただっきま〜す♪」
満面の笑みでケーキを食べ始める友理奈。
1口目、異常なし。
2口目、異常なし。
3口目、眉間にしわが・・・。
4口目・・・「うぷっ!」
「ねぇ、ももち・・・。このケーキ、間に何はさんだ?」
「え?イチゴと生クリームと友理の大好きな納豆だけど・・・。もしかして美味しくなかった?」
上目遣いで不安そうに尋ねる桃子に『不味い』と言うか『美味しい』と言うか。
それは友理奈にとっては究極の選択だった。
前者を選べば愛しい彼女を傷つけてしまうし、後者を選べば今後も行事のたびに『納豆ケーキ』を食べる羽目になる。
自分と他人、どちらか一方が傷つかざるを得ない状況で彼女はどう答える?
「まさか!美味しいに決まってるじゃん♪あたし納豆大好きだもん。ももちがそれを覚えていてくれたことが何よりも嬉しいよ。」
「あぁ〜、友理ぃvv」
本当に安心した、という風の桃子。
「ももちの為なら、どんな事だって出来るのかもなぁ・・・あたし。」
「え?何か言った?」
「いや、何でもない。それよりさ、続き食べようよ!」
愛する人のためなら、どんな辛い事だって受け止められる。
そんな自分の気持ちに気付くことが出来たのだから、友理奈にとって今日は人生最高のクリスマスイヴになっただろう・・・たぶん。
【END】
こんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
あと1時間もありませんが・・・今年最後の更新でした!
*1:鼻血はまだ止まっていない。